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空行で区切ったのに、読み返すと「急に別の場所へ飛んだ」「いま誰の目線なのか分からない」と引っかかる。そんなとき、空行を増やすか、記号を足すかで迷うかもしれません。
空行や記号で区切ったあとに、変わった時間・場所・視点人物を文章で伝えます。 印を足すだけでは伝わらなかった時間や場所を、一文目で知らせる書き方です。
まず区切り方を選び、その後で次の場面の冒頭を直していきます。手元に自作の切り替え一か所があれば、前後の文を例文と読み比べながら進められます。
春香と蓮が出てくる例文は、説明用に作った架空の文章です。修正案は手で直した例で、AIの返答ではありません。
場面を切り替えるときは、何を書けばよい?
区切りは「ここから別の場面です」と知らせる合図で、新しい場面の中身は次の場面の文が受け持ちます。
たとえば「* * *」だけでは、翌朝になったのか、駅へ移ったのかは分かりません。印の次に来る文へ、その場面を思い浮かべる手がかりを置きます。
下の表で、変わった項目に合う手がかりを選べます。右の列は、次の場面の書き出しに使う短い例です。
| 変わったこと | 冒頭に足す手がかり | 説明用の短い例 |
|---|---|---|
| 時間 | 前の場面からどれだけ時間が進んだか | 翌朝、 |
| 場所 | 人物がいま立っている場所 | 駅の改札で |
| 視点人物 | 新しく目線を担う人物の名前と動作 | 蓮は時計を見上げた。 |

三項目を毎回列挙する必要はありません。前の場面と同じ場所なら、地名を言い直すかは前後から今の場所を読めるかどうか次第です。
時間と場所が同時に変わるときは、「翌朝、駅の改札で」のように一つの文の頭へまとめて置けます。視点人物まで変わる場合は、新しい人物の名前と動作を置き、その人物の見聞きすることから文を続けます。
夜野私は、記号を増やす前に次の場面の一文目を読みたいです。「翌朝」が抜けているだけなら、その一語を足すところから試せます。
文章の手がかりを押さえたら、区切りの印を選んでいきます。
空行と記号はどう選ぶ?
空行で切れ目が見えるなら空行を使い、普段の改段落と見分けにくいときは区切り記号を一種類決めます。 どちらを選ぶかは、自作を読む画面で切れ目が目に入るかどうかで決められます。
空行で切れ目が見えるならそのまま使う
同じ場面の中で段落を変えるときと、時間や場所を移すときでは、空きの役割が違います。普段から段落ごとに空行を入れる書式なら、場面の切れ目には別の目印を使う方法があります。
次は二つの場面の間を一行空けた例です。
「明日は駅で」蓮は本を閉じた。私は返事をせず、窓の外へ目を向けた。
翌朝、駅の改札で私は時計を見上げた。蓮はまだ来ていない。
空ける行数は、投稿先の指定と作品内の書式に合わせて選びます。
見分けにくいときは記号を一種類決める
段落の空きと場面の切れ目が見分けにくいときは、区切りの記号を一つ決めて、作品の中で同じものを使い続けます。この記事では説明用の例として「* * *」を使います。
私は返事をせず、窓の外へ目を向けた。
* * *
翌朝、駅の改札で私は時計を見上げた。
説明用に「* * *」を置きました。印を選ぶ基準は、自作の文体と投稿先の表示です。
投稿サイトの決まりやコンテストの応募要項に指定があれば、まずその書式に合わせましょう。
投稿先のプレビューを開き、普段の段落と場面の切れ目を見分けられるかを読み直します。カクヨムの公式ヘルプにも、執筆中の本文を公開時の見た目で確認する方法が案内されています。
プレビューで切れ目が埋もれていたら、空行か記号かを選び直してみましょう。



同じ作品で印が変わると、違う種類の切れ目なのか迷うことがあります。使う印を一つ決めたら、次は切り替え後の一文に時間をかけられます。
時間や場所が変わった後は、何から書く?
時間が変わったなら日時を、場所が変わったなら行き先を、次の場面の一文目に近い位置へ置きます。 冒頭の数語で「いつ、どこ」を受け取れると、読者はその後の人物の動きを追いやすくなります。
春香と蓮の例で、何を足すかを比べてみましょう。作者が決めている設定は次のとおりです。
- 春香の一人称で書いている
- 前日、春香は図書室で蓮と話した
- 次の場面は翌朝で、春香が駅の改札で蓮を待つ
- 残したい台詞は「明日は駅で」
- 正確な時刻は決めていない
時間が変わったら日時を置く
切り替え前の場面は、蓮の台詞と、返事をしない春香の様子で終わります。
「明日は駅で」蓮は本を閉じた。私は返事をせず、窓の外へ目を向けた。
切り替え後の書き出しを、修正前の状態で読んでみます。
私は時計を見上げた。蓮はまだ来ていない。
この二文だけでは、前の場面の続きなのか、日が変わったのかが読み取れません。前の場面をそのまま覚えている読者は、春香がまだ同じ場所で時計を見ていると受け取るかもしれません。
一文目の頭に「翌朝」を足すと、時間が一晩進んだことが伝わります。
翌朝、私は時計を見上げた。蓮はまだ来ていない。
作者の設定では正確な時刻を決めていないので、「午前八時」のような数字は足しません。前の場面の「明日は駅で」の台詞にも手を入れず、場面の終わりの余韻として残します。
場所が変わったら行き先を置く
作者の設定では前日は図書室ですが、切り替え後の二文には場所が書かれていません。そこで「翌朝」に、行き先の「駅の改札で」を続けます。
翌朝、駅の改札で私は時計を見上げた。蓮はまだ来ていない。
この手で直した案では、時間と場所が加わり、前の台詞と春香の一人称はそのまま残っています。「明日は駅で」と言われた翌朝に春香が改札にいると分かるので、前の場面の台詞と今の場面が一文でつながります。
この例で読ませたいのは、春香が駅で蓮を待つ場面です。家を出てから改札へ着くまでの道のりは、その途中で描きたい出来事があるかどうかで選べます。
ただし、場所を伏せたまま読者の想像を待つ書き方なら、行き先は書かずに進めます。先に場所を明かすかは、作品の狙い次第です。



残したい台詞が前の場面の最後にあるなら、移動の説明は次の場面へ回せます。「明日は駅で」を残したまま、次の一文に行き先を置く案を試してみましょう。
ここまでの春香の例は、自作の一か所に置き換えて試せます。切り替え後の一文目を書き出し、その横に「いつ」「どこ」のどちらが足りないかを一語でメモすると、頭に足す言葉が決まります。
視点人物を変えるときは、何を書く?
区切った後に新しい視点人物の名前と動作を置き、その人物が見聞きしている範囲から場面を始めます。 名前と動作を手がかりにして、続く文章で誰の感覚を語っているのかを伝えます。
新しい視点人物の名と動作を置く
ここで扱うのは、春香の一人称を続ける案とは別の案です。作者が次の場面を蓮の目線で書くと決めた場合の書き出しを、説明用に作りました。
翌朝、駅の東口で蓮は時計を見上げた。
「蓮は」は行動している人物の目印で、「時計を見上げた」から蓮の動きが始まります。蓮の目線で語るなら、続く文には蓮の見聞きする内容を置きます。
この別案は視点と場所を変えた案で、行き先は「駅の東口」です。春香が改札で待つ案とは組み合わせず、作者が書きたい方を一つ選びます。
名前を置けば、一人称の作品をいつでも三人称へ切り替えてよいわけではありません。作品の中で視点を切り替えるかどうかは作者が全体の方針として決めることで、この例はその方針を選んだ場合の書き出しにあたります。
その人物が見聞きするところから始める
蓮の目線を続ける二文目を、説明用の架空例として足してみます。
翌朝、駅の東口で蓮は時計を見上げた。ロータリーを出るバスのエンジン音が、蓮の耳に届いた。
「エンジン音が耳に届いた」は、東口にいる蓮が聞いたことです。続きには蓮が見たり聞いたりしたことを置きます。
この別案では、蓮が知りえない春香の気持ちを地の文に足しません。蓮の知覚で書き始めたあとに春香の内心が入ると、誰の目線で読めばよいかが曖昧になるためです。



この例の二文目を「春香は不安だった」に替えると、蓮には分からない内心へ移ってしまいます。自作でも、次の文に別の人物の気持ちを足していないか、語り手の位置に戻って読みます。
視点の種類ごとの書き方や、物語全体で誰がどこまで知っているかの管理は、この記事では扱いません。ここでは切り替えた直後の書き出しに絞っています。
出来事を見せる順番と、人物が知った時点まで見直したいときは、小説の時系列を整理する方法の表を使えます。
自作の場面転換は、どう見直す?
切り替えの前後と作者の設定を並べ、足りない情報だけを足し、AIの案を使う場合も原文と比べて選びます。 手で直す手順を先に置き、AIへ頼む方法はその後に回します。
切替前後と作者の設定を書き出す
最初に、自作から切り替え前の最後の2文と、切り替え後の最初の2文を書き出します。その下に、作者が決めている「いつ・どこ・誰の視点」と、残したい言葉を並べます。
春香の例で書き出した記入例が下の表です。左は見る項目、中央は書き出した4文だけから読み取れること、右は作者の設定やメモにだけあることを並べています。
| 項目 | 原文で読めること | 作者が別に決めたこと |
|---|---|---|
| 時間 | 切り替え後の時間は読み取れない | 翌朝 |
| 場所 | 前の場面は窓の外が見える所まで。切り替え後は読み取れない | 前日は図書室、次は駅の改札 |
| 視点人物 | 前後とも「私」。名前は書かれていない | 「私」は春香 |
| 残す言葉 | 「明日は駅で」 | この台詞は変えない |
切り出した4文には「翌朝」と「駅の改札」がありません。作品の前後を通しても伝わらない情報なら、次の場面の冒頭へ足す候補になります。
「私」が春香だと前の部分ですでに伝わっているなら、ここで名前を足す必要はありません。4文の抜粋だけで決めず、その前に人物をどう紹介したかまで戻って読めます。
足りない手がかりだけを一文に足す
右の列にだけある情報から、読者がその場面を思い浮かべるのに欠かせないものを選び、次の場面の一文目へ足します。春香の例では「翌朝」と「駅の改札で」を足し、「翌朝、駅の改札で私は時計を見上げた。」にしました。
足すときは、前の場面の台詞と、切り替え後の人物の目線を動かさないように読み比べます。足した語句のせいで台詞の位置や語り手が変わっていたら、その足し方は見送ります。
台詞を残して春香の一人称を続ける案と、蓮の目線へ変える案は、別々の候補です。二つの案は作品の方針が違うので、作者が書きたい方を一つ選び、もう一方は使いません。
AIには前後の文と変えない条件を渡す
手で直す案に迷ったときは、AIに修正案を出してもらう方法もあります。
下の指示文は、この記事で用意した未実行の例です。実際にAIへ入力した結果や返答は載せていません。
小説の場面転換を見直す手伝いをしてください。
【切替前の文章】
[ここに前の場面の最後の2文を入れる]
【切替後の文章】
[ここに次の場面の最初の2文を入れる]
【作者が決めたこと】
[いつ、どこ、誰の視点かを書く。未設定の項目は未設定と書く]
【変えない言葉・条件】
[残す台詞、呼び方、文体などを書く]
原文だけで読み取れる時間・場所・視点人物と、作者の設定にしか書かれていない情報を挙げてください。
次に、不足する手がかりを次の場面の冒頭に足す案を2案ください。
原文にない出来事、気持ち、正確な日時を作らないでください。
変えない言葉はそのまま残し、作品全体を書き直さないでください。
各案の後に、何を足したか、何を残したか、作者に聞かなければ決められない点を短く書いてください。
コピーしたら、[ ] で囲まれた四つの欄を自作の内容に差し替えます。
- 【切替前の文章】には、前の場面の最後の2文を入れます
- 【切替後の文章】には、次の場面の最初の2文を入れます
- 【作者が決めたこと】には、いつ・どこ・誰の視点かを書き、決めていない項目は「未設定」と書きます
- 【変えない言葉・条件】には、残したい台詞、人物の呼び方、文体などを書きます
入れる原文は前後2文ずつにとどめ、作品全体は貼りつけません。前後2文ずつなら、追加された言葉を原文と一文ずつ照合できます。
案の中に設定していない出来事・気持ち・日時があれば、その語句へ印をつけます。続いて原文と一字ずつ突き合わせたいのが、【変えない言葉・条件】の台詞です。
作者への問いが返ってきたら、設定に照らして一つずつ答えてみましょう。まだ決められない項目は、本文へ足さずに保留できます。
二つの案は、どちらもそのまま本文へ貼る必要はありません。片方の言葉だけを借りる、どちらも採らずに自分で書き直すといった選択も残せます。
AIが作者の設定や事実を必ず守るとは限らないので、最後にどの文を採るかは作者が決めます。



私は、残したい台詞を先に決めてから修正案を比べたいです。その台詞が変わっていたら、文章の滑らかさだけで採用せず、原文へ戻れます。
未公開の作品をAIに入力する前には、どのサービスへ、どの範囲の文章を送るのかを作者自身が判断しておきます。
場面転換でよくある質問
会話の途中で切る場合や、一つの章で何度も切り替える場合は、切った後に読者へ何を渡すかを作者が決めます。
会話の途中で場面を切ってよい?
返事を伏せたまま、次の場面へ進む書き方があります。春香の例では「明日は駅で」への返事を描かず、翌朝に場面を移しています。
この書き方では、返事をいつ描くかが次に決めることです。次の場面で返事を書くのか、別の章まで伏せるのか、返事をしないこと自体を答えにするのかで、次の場面の一文目に置く言葉が変わります。
三つのどれを選んでも、それだけで正解や失敗が決まるわけではありません。作品で読ませたい流れに合わせて、作者が選べます。
一つの章で何度も切り替えてよい?
切り替えの回数は、章の中で描きたい場面に合わせて決めます。回数より先に気にしたいのは、読者が場面ごとの人物と場所を追えるかどうかです。
自作の章から切り替えが続く部分を取り出し、各場面の一文目を順に読んでみましょう。
人物や場所で迷った場面は、前後の文章へ戻ります。そこでも追えなければ、手がかりを足します。



切る回数を減らす前に、離れている二つの場面を続けて読ませたいかを選んでみましょう。片方を後へ回す案も、作者の手元に残しておけます。
まとめ
場面転換の見直しでまず取り組みたいのは、自作の一か所の区切りと、その次の一文です。 空行や記号は場面が変わったことを知らせ、時間・場所・視点人物は次の場面の冒頭の文が伝えます。



全部の切り替えを一度に直さなくても、一か所で試せます。気に入った台詞が残ったかまで、原文と修正案を比べてみましょう。
次に作品を開いたら、切り替えの一か所を選び、前の場面の最後の2文と次の場面の最初の2文を書き出してみましょう。残したい台詞に印をつけ、次の場面の一文目に「いつ」「どこ」「誰」のどれが足りないかを見ると、足す言葉が一つ決まります。
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Atelier 創作ガイド
ネタが決まったら、次は「推しの口調」と「夢主設定」を整える。
すぐ書き出したい人向けに、Atelier内のテンプレ記事をまとめています。











